【 概 要 】−八坂神社は寛永3年(1626)に創建された神社です。八坂神社が境内を構える取手宿が水戸街道の宿場町に選定されたのは天和貞享年間(1681〜1688年)頃である事から宿場町成立前に創建されたと思われます。八坂神社の境内には「駒形茂兵衛 とほのく路次の 朧かな 遊子」の句碑が建立されています。駒形茂兵衛とは長谷川伸の戯曲「一本刀土俵入」の主人公で、内容は横綱を目指していた駒形茂兵衛が相撲部屋に弟子入りしたものの、見込みがないとして破門となり、無一文で腹を空かせボロボロの身なりとなって何とか取手宿の旅籠である安孫子屋まで辿りつきました。安孫子屋で酌婦として働いていたお蔦は、駒形茂兵衛に温かい食事と綺麗な着物を与え、横綱になるという夢に向かってもう一度努力するように諭され、駒形茂兵衛も感謝の気持ちで涙を抑えきれませんでした。それから10年、横綱となった駒形茂兵衛が晴れ姿をお蔦に見せる為に再び取手宿の安孫子屋を訪ねますが既にお蔦は店を辞めており、誰も居場所を知りませんでした。そうこうしていると、お蔦の夫である辰三郎がイカサマで博徒に追われているを知り、駒形茂兵衛が博徒達を追い払いお蔦と娘、辰三郎を救い、10年前の恩返しをしたという話です。八坂神社にはこの句碑の他、宝永4年(1707)に奉納された鳥居や寛保3年(1743)と宝暦7年(1757)、文化4年(1816)に奉納された石灯籠、天保3年(1832)に建立された拝殿、明治36年(1903)に建立された本殿、文政9年(1826)に制作された御神輿などがあります。
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